フラワーデザイン 常勤主任講師
石川 眞也
花の授業は、フラワーデザインをメインとした380授業時間(80分/1授業時間)で構成しています。多くの実習を通じて、1学期では基礎的なデザイン技術の習得(花材・器・資材・道具等の扱い方から理論に基づいた構成技術)を学びます。2学期は応用技術の習得(花材の特徴の捉え方から創造的な表現方法)へ、3学期では実践的デザイン技術の習得(冠婚葬祭や設定された条件・空間を意識した装花技術)を目標としています。
実習が多いため、花材は効率的に使用します。大きなものから小さなものへ、アレンジメントからブケーへ、そしてコサージへと、多くの授業で工夫して花材を活用しています。これにより、花を大切に扱い、無駄にしない心も身につけてもらいたいと考えています。
この1年間でできるだけ多くのことを教えたいという思いでカリキュラムを組んでいますが、時に学生に少し背伸びをさせているかもしれません。日常の授業の中で、この授業数を前に、それでもまだまだ時間が足りないと感じるときがあるからです。
しかしながら、1年間という限られた期間、このJFTD学園で学ぶ学生たち、特に卒業後すぐに店頭に立つ学生たちには、多くの知識と技術を伝え、できるだけ多く花に触れる経験をしてほしいと思っています。
仕事であれ個人であれ、花をいけるという行為に完璧はないと思います。その日手にした花をどう活かすかという永遠の課題があるからこそ、花に関わる仕事の魅力があるのではないでしょうか。
植物の造形 常勤講師
大喜多 映美
—植物の美と可能性を探究する—
「植物の造形」授業は、単なるフラワーアレンジメントの枠を超え、植物が秘める多様な表現の可能性を探求する実践的な学びの場で、植物本来の姿の美しさを理解することから始まり、その構造や特性に注目した新たな表現方法を学びます。見かけだけでなく植物が持つ本質的な構造を観察し、時に廃材となるはずの植物にも新たな命と美を吹き込む技術を習得します。
フローリストとして必要な基本スキルはもちろん、のこぎり、ドリル、ペンチ、カナヅチ、接着剤など様々な工具の使用法も実践的に学ぶことで、植物素材の可能性を最大限に引き出す力を養います。
限られた授業時間の中で、フラワーデザインやいけばなの技術・思想を超えた、植物表現の無限の可能性を凝縮して学びます。挑戦的な内容ですが、この経験はフローリストとしてだけでなく、アーティストとしてのキャリアにおいても貴重な財産となるでしょう。
一年間では非常に厳しい内容ですが、経験して頂けるとフローリストとしてもアーティストとしても、将来に役立つ内容であると思っております。
フローリストの観賞園芸学 講師
小池 安比古
フローリストの仕事は、人の気持ちをかたちに表すことだと思っています。とても素晴らしい仕事です。しかし簡単な仕事ではないはずです。第一、たくさんある花の名前をおぼえるだけでもひと苦労です。
コックさんや板前さんは、自分が扱う肉や魚の食材に関わることは些細なことについてまでよく知っています。それらを使って調理し、お客様に味わってもらうからです。扱っているものが違いますが、「作品」としてお客様に提供することはフローリストも一緒ですよね。ですから皆さんも、たとえばユリの花をひとつとっても生まれ故郷はどこか、すごしやすい環境(栽培環境)はどういうものか、花を咲かせるための条件は何か、そして一日でも長く花を観賞するための方法とは、などについて知っておかなければならないのです。将来、フローリストとして活躍が期待されるみなさんが知っておかなければならないことを、この「フローリストの観賞園芸学」でお教えします。このフラワーカレッジでの一年間で、プロとしてのフローリストとして技術とセンスは実習で磨き、授業では花に関する知識を増やしてください。
色彩学 講師
秋元 未奈子
フローリストと色彩の関係は悩ましい。
花の色は多くの場合、お客さまの好みや贈る相手に合わせて選びます。しかし、それだけではありません。季節や流行の変化があります。室内装飾として空間にふさわしい色かどうか、次々と開発される新しい色をどう扱うか…そのようなシーンにも出会うでしょう。おまけに、花の色は工業製品と違い均一ではありません。
本当に、花と色の関係は悩ましい。
ところが、お客さまは花の色に大いに反応します。フローリストが色に対するコンプレックスを抱いていると、結構大変なのではないかと想像します。
私の授業は「使える色彩」を目指しています。色を感覚的に扱うのではなく、テクニックを知った上で「美しく、ニーズに合う、豊かな色彩」を提供できるフローリストになってもらいたい。ものや情報も飽和状態の現代社会。その中で人の心を動かす花を、色彩の力をすこしだけ借りて作りだしてもらいたい、と願っています。